料理屋のおっさんが・・

「あんた・・歩きよるの多いなあ・・!遍路よ。そこもここもにもオルが!」と店に入ってくるなり、料理屋のおっさん。
おっさんは、この連休の日月と四万十へうなぎの仕入れに行っていたのだ。おっさんは私が歩きに行ってるのを知ってて・・今度も私が
「四万十行くんだったら、ひょっとしたら会うかも・・」といってたものだから、道々ずーっと遍路姿の男の顔を見てたんだそうで、1泊2日足の私がケツをわって帰ってきてたことなど知らないから、2日間見てたら、その歩いてる数の多いことにびっくりしたようで・・・
「まあ、次から次と沸いたように歩いとってびっくりしたわ・・。」とおっさん。仕入先へは普通は電話で済ますのだけど、久しぶりに顔見世にいかんと・・・ということで行ったらしい。でそこの親父さんに話を聞いたら
「あのNHKの街道テクテクで女の子の卓球選手が歩いてから、ぐーんと増えたってよ。それまでは、歩きなんてポツポツだったのにな・・。まあ、増えるのはええことかもしれんが、そのぶんパタパタ行き倒れがふえてなあ・・・と言うとったで」とおっさん。
「ふーん・・行き倒れ・・」
「まあ拝みもって死んでいくんだから、本人はそれでええかもしれんがなあ・・とよ!」
「へえ・・結構トラブル増えてるんかなあ・・・」
「行くのはええけど、あんた気付けとったほうがええで!」
とひとしきり、あっちで聞いてきた遍路の話をして帰っていった・
まあ、確かに相当増えてるから、私も歩きながら多少は感じるところもあったのだが・・・・・
△ 四国八十八ヶ所感情巡礼 
   車谷長吉
 去年文芸春秋に連載されている時から読んでいて、単行本になっても 歩きに出る前に読んで、出かけていたのだけど・・・
 

 最近、歩きが進みだしてからは手に取ることもなくなってきた。
 歩きが進みだして読むより、これから「お四国」でもと歩き始める前に読むほうが面白いかもしれない・・