あまりの寒さに・・・

昨日からのあまりの寒さに、巣籠・・・。
この日月でまた歩きにいこうかなあ・・・と思ってたのだけど、こう寒いと、怖気づき
「パスするわ・・今回は・・」とかみさんに言うと、
「そうだろうね・・」と私の顔を見ながらニヤニヤ
「寒いから・・なんていうとったら、修行にならんでしょうが!高知に入ったんでしょ?寒くはないよ!」
と、けしかけるんだけどねえ・・・
年末、22番平等寺、23番薬王寺、24番室戸の最御崎寺、25番津照寺と周り、帰ってきた。
この年末は、暖かくて室戸まわりは、薄手の上着で歩いても汗びっしょりで気持ちよかったのだけど・・・
この天気じゃ、あっちでもなあ・・と。
薬王寺では、宿坊に泊まりましたが、お寺の宿坊に泊まったのは、この年末がはじめてで(覚えてる限りでは・・・)、翌朝、6時から朝のお勤めがあるというので、寒い中 筋肉痛の足をひきずりながら、またあの薬王寺の急な石段 女厄坂、男厄坂を上がり本堂へ行く。まだ夜が明けてないので暗い。
 本堂にはすでに、泊り客の家族連れ4人が着ており、私と少し遅れて来た女の宿泊客がそろったら、すぐにお勤めが始まった。
30分ぐらいの勤行でした。初めての経験でしたが、なんとなく心がすっきりしたような気分になり・・・・。



 お勤めが終わり、宿坊の食堂で朝飯を食べていたら、宿泊客の女の人に声をかけられた。女の人といってもおばさんだけどね。
「歩きですか?」と問いかけられたので
「ええ、始めたばかりで・・・」と、答えるんだけど・・あらためて聞かれると駆け出しの私としては、恥ずかしいなあ・・
でいろいろ話していくうちに、なんと前日、新野駅で同じように降りてる・・。どうも私が見落としたらしい・・
「22番平等寺から歩いてきたんですか?あれから?」
「ええ・・ぎりぎりセーフでした」
 彼女も歩き遍路でした。信越の方から来てる。ゴールデンウィークと年末年始を利用して、もう3年ぐらい来てると言ってた。
 今日どこか出会えるといいですね・・と言って、彼女は先に食堂を出て行った。私は、足が痛くてねえ・・すぐ立ち上がれない・・
 足の裏が大分傷んで、すりむけ始めていたので、カット版で応急処置して宿坊を出る。もう8時を回っている。私が一番遅いみたい。
 ひたすら55号線を歩くが、足が痛いのでなかなか速度が上がらない・・・
それでも、トンネル前のへんろ休憩所で、一人のお遍路に追いつく。
 そのリュックにくくりつけているブルゾンに見覚えが・・
「あれ?昨日、新野で、電車降りませんでした?」と聞いてみると
「そうです」とそのおじさん。うーん、あの時はキャップをかぶってたから、若い男と勘違いしたのだけど・・、私と大して年の差はないみたい。
 「えらい、歩くの早いですね・・。駅降りて、2,3分でしたよね。姿見えてたの?あっという間に引き離されてしまいましたからねえ・・」
 「いやあ、そんなに早いほうじゃないですよ・・。」
 「あのときの女の子も早かったですよ、それからすぐ女の子も見えなくなりましたから・・どちらが早くついたんですか?平等寺には」と私。
 「私の方だけど・・・あなた、平等寺からどっちへ?」
「国道とおって、薬王寺へ、ついたのがぎりぎりでした、まあトンネルは白線だけだし・・危なくて・・」と言うと
「僕は、海側 田井ノ浜へでてね・・・国道はアスファルトで歩きにくいし足に負担が来るから・・あっちの道は山道も結構あって、国道歩くより距離が長いけど、楽でしたよ。ああ、あの女子にねえ、田井ノ浜の休憩所で追いつかれてね、すぐ追い越された。あっという間、ホント。早い・・。黒のロングコートきてね・・・汗ひとつかいてなかったし・・・あれは、きっとスポーツしてるね・・」と感心して話してくれた。
「それに引き換え、僕は汗かきでねえ・・まいるよ・・こんなに暖かいとは思わなかったよ」
 ああ、それでブルゾン脱いでるのか・・と
で少しの間、彼というか叔父さんと一緒に歩く。九州から来てるそうで・・会社の休みを利用しながら、一番から順に周ってるそうで・・・
「じゃあ、私と同じですね」というと
「地元だからいいよなあ・・。何回に分けてもいいからなあ・・こっちは行き帰りだけでも大変なんだから・・」という。
すでに4回来ているんだそうで、今回は元旦には、出社しないといけないから、宍食まで歩いて、夜行高速バスで帰るとのことで・・・私は、恵まれてるのか、と実感。
さすがに私の足の遅さに、閉口したのか、おじさんは
「お先!」と行ってしまう。
鯖大師に、ついたのは昼すぎ、そこで、先に出てたおばさんに追いつく
「結構、早かったですね?着いたの大分前ですか?」
「7時に出たの。いつ出たんですか?」と おばさんは涼しい顔。
「8時過ぎです。」とこっちは、顔をしかめながらいう。
 そばに大きなリュックがあるので
「これそうですか?すごい荷物ですね」私のゆうに倍はある。
「だって向こうは、雪降ってるから、出てくるときは、冬の格好だからねえ」
このリュック背負って歩くんだからねえ・・このリュックから見ると私のなんか小学生の遠足だね・きっと。
番外だけど、納経帳に印をもらい、また歩き始める。すでに海岸沿いを歩いているので、ぽかぽか陽気で気持ちがいい・・足の痛さを除けば。。


鯖大師から3.4キロ歩いたろうか・・足が痛いし、暑いから海岸の堤防に腰掛けて、ボーっとして下見ていたら、傘をツンツンつつかれたので驚いて顔を上げると、若い兄ちゃんが
「お接待してあげるから、これ食べてがんばりや!」とぶっきらぼうに手を差し出す。その手には、みかん一個と小さい袋のカッパえびせんが・・
「えっ?いいんですか?」びっくりするやら、嬉しいやらで・・
ひとり歩きしだして、初めてのお接待をうける。
「ありがとうございます。」とお礼をこめて納札を差し出す。
「歩きのしんどさの6割は、ここの線だからなあ。・・足摺もきついけど、がんばり!」と励まされる。
 いただいたカッパえびせんには、ふせんがついてあり・・この付箋は大事に持って帰ってきた。

で、しばらく歩きまた山に差し掛かり、坂を前かがみで歩いていると
「にいちゃん、兄ちゃん!、お接待してあげるからこっちで休んでいき!」
と国道の反対側からおばさんに、大きな声で呼び止められる。
「さっきからこっち来るのみとったら、あんまりしんどそうなんでねえ、あんたが・・」とお茶と蜂蜜を出していただく。
 ほんとにこのときは、助かった・・
「ありがとうございます。助かりました」とお礼をいい納札を差し出す。
「あんた、お札くれるんだ・・」とおばさんは喜んでくれた。
やっと5時過ぎ、宿に着く。

室戸の御蔵洞は、弘法大師が若いときに修行したところと言われているのだけど、神社になってるので、入ろうか?どうしようかと迷ったけど、ここまで来たのだから、と入ってみる。

それから、24番最御崎寺に向かって足を引きずりながら歩く。足の裏が痛くて痛くて・・
遍路口からあがる。久々の山道である。700m上りの距離のみ。

たった700mしかないのに、1時間ぐらいかかる・・

この24番は、ちょっと変わってる。今まで回ったところは、納経所が手前にあり本堂、大師堂が奥にあるという配置だったように思うのだけどここは、山門を入ると大師堂がありその奥に本堂と納経所がある。本堂で拝み、それから大師堂に戻って拝み、それから納経所へ・・・
ちょっとへんなの・・・と思ってしまった。
24番から降りる曲がりくねった道路が、足にガクーンと堪えた・・もうふくらはぎがミシミシ音立てそうで・・・
 でも景色は最高!暖かいし風はないし、空はどこまでも青く高知の太平洋は、とてつもなく広く・・・

25番津照寺まで、6キロあまり・・・なんと3時間以上かかってしまう・・・。
このお寺の光景はどこかで見たような気がするのだが・・・思い出せない。映画かなんかかなあ・・
本堂は鉄筋コンクリート作りで、その上引き戸を開けてはいり、入ったところが土間になっておりろうそくも線香もここであげるという・・なんとも・・いやはや。
お参りを終えて大師堂の前で休んでいると、本堂で一緒になった若いしが
「おっさん、今日はどこ泊まり?」と聞くので
「もう・・・足が痛くて、これ以上歩けそうもないから、帰るよ」というと
「ええっ、次26番まで 4キロないよ!、がんばったら?俺、ついて歩いてやるよ」と言ってくれる。相当大きいリュックを担いでいる。
「ありがとう、でもここで止めとくよ。兄ちゃん 通し?」
「ああ、今日で10日目だよ・・」
「今日は、どこまでの予定?」
「奈半利まで行ければ・・と思っているんだけど、この時間じゃきついかなあ」と時計を見ている。
「おらあ、もう帰るから、気にせんと先、行ってや」と若いしにいうと
「じゃあ、」と若いしは手を振って足も軽やかに歩いていった。


納経所で、近くのバス停を聞く。
「室戸」だそうで、少し逆戻りになるとのこと。
300メートルぐらい後戻りした。15,6分ぐらいでバスが来、シートに座ったときはほっとした。安芸まで出て、くろしお鉄道に乗り換え、高知に出る。
高速バスで帰ってくる。1時間ちょっとである。
帰って足の裏を見る。ヒエッと驚く。
今回、一人で歩いて思ったこと。
団体で「歩き」に行くのとは、全然違う。。
本来は 一人で歩くべきなんだろうね。
たぶん今からは、一人で歩くことの方が多くなるだろう。
次は バス停「室戸」から・・